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第27回 桜の季節に

 桜の季節になった。ビニールハウスの中は太陽の光で明るい。しかし外の景色は意外と見えない。外界と遮断された別世界。風がビニールを震わせて通り過ぎていく。

今、ハウスの中は賑やかだ。トマト、ナス、ピーマン、胡瓜、かぼちゃ、スイカ、、おくら、とうもろこし、インゲン、サツマイモ、ネギ、アスパラガス。

夏野菜の苗がいろいろ育っている。

トロ箱に山土と田の土と焼き籾殻を均一に混ぜたものをいれ均平にし、3センチ間隔に筋をつける。そこに1.5センチ間隔にトマトやナスやピーマンの種を一粒ずつ播く。覆土をして鎮圧して温床の中に入れる。温床は古畳の上に電熱線を這わせ、地温25度に温度設定している。ナスは9日トマトは7日位で芽をだす。

私は30年近く桜の季節にこんなことばかりしてきた。何年しても、種を播いて芽がでるまでは不安と楽しみが交錯する日々が続く。今年はトマト、ナス、ピーマンなどすべて順調、均一に発芽して双葉を広げている。

と普通は表現するが、細かく観れば苗は均一ではない。双葉の方向,本葉の出方、など一つとして同じ苗はない。人間の顔が一人一人違っているように、自然界は本当は多様性に満ちている。農業は生産力をあげるために人為的に可能な限りこの多様性を均一化する行為だろう。

それにしても種を播くと芽が出て育っていく。


これはいつもとても不思議な気がする。人間を含め自然界のすべての生き物を生かしている【大きな生命の】存在を深く感じる。

初桜 トマトの双葉 開く日に

                          合掌  古野隆雄

写真上【夏野菜の苗】
写真中【温床の様子】
写真下【桜の開花】
  

4月12日更新

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